記者会見
多くの民事訴訟事件は、金銭的解決を
求める事件であり、和解による解決となる
場合もあるので、記者会見をしても、
得になることはないと思います。
記者会見をすることで、相手方が態度を硬化すると、
個別事件の和解的解決を遠ざけることになるからです。
しかし、時には、提訴したことを知ってもらいたいと
思うような事件もあります。
不法行為事件、例えば原子力損害、医療過誤、
障害者虐待事件、国家賠償請求事件等は、
相手方の過失を原因として、賠償を求める事件です。
しかし、過失、注意義務違反、と言い換えても同じですが、
何をすればよかったのか、と言うことは、多数の同種事件があるもの
以外、分かりません。
原子力発電所は、どういう設計を要するのか、
医者は、どれくらい稀な副作用まで想定するべきか、
等は、私は、一概に判明するものではなく、社会の動きによって、
変わってくるものだと思っています。
定型的でない、損害賠償請求は、社会の動きによって基準が
変わるものだとすると、提訴したことをマスコミを通じて広めて、
世論の後押しを求めることも必要な事件があると思います。
稀に、社会に、提訴したことを知らせる場合には、
東京地方裁判所内の司法記者クラブで、
記者会見させるもらうように依頼します。
また、マスコミの側から、取材依頼が来る事件では、
弁護士の事務所が窓口になることもあります。
司法と世論の動きは、不可分と思いますが、
世論に働きかけることと、個別事件の解決は、
必ずしも、両立しないと思います。
依頼者が、何を目的提訴するのかに
よると思います。