控訴


民事訴訟の一審で敗訴し、敗訴判決に納得いかなくて、
さらなる審理を求めるには、控訴する必要があります。
控訴の手続きについて、書いてみます。

控訴状は、敗訴判決を出した裁判所に対し、
判決書を代理人が受け取った日の翌日から
14日以内に提出しなくてはなりません。
月曜日に代理人が判決書を受け取った場合、
翌々週の月曜日が終わるまで(火曜日の午前0時まで)に
控訴状を提出しなくてはなりません。
控訴状には、委任状、資格証明などの書類の添付と
印紙を貼る必要があります。
しかし、不足する書類や印紙は、後で出すこともできますので
(追完できるので)、
何としても期限までに控訴状だけは提出する必要があります。

控訴の期限は厳格に法律で決まっているため、控訴状を提出することは、
控訴審から一審の弁護士とは別の弁護士に依頼する予定でも、
別の弁護士が決まっていない限り、
一審の弁護士に依頼した方が良いでしょう。
控訴状には、控訴の理由を記載しなくてもかまいません。
控訴審の裁判所から送られる、概ね2ヶ月程度先の
控訴理由書の提出期限までに提出すれば良いのです。
なお、上告の場合、上告(受理)理由書の提出は、
1日でも送れると無効になります。
また、上告の場合、上告理由書はファックス提出できません。
民事訴訟規則3条1項4号
www.courts.go.jp/kisokusyu/minzi_kisoku/minzi_kisoku_55.html
一審を負けた場合、代理人を替えるか換えないかは、大きな問題です。
一審を担当した弁護士が、当然に控訴を担当するものではありません。
一審の弁護士にそのまま控訴審も依頼することもあります。
一審の弁護士は、事案をよく知っているので、控訴への対応も容易です。
しかし、一審の発想では敗訴しているので、
控訴には、新しい発想が必要かもしれません。
新しい発想が必要な場合には、新しい弁護士が必要かもしれません。
控訴審から別の弁護士に依頼することもあります。
ただし、一審判決を読み、さらに一審の審理経過を把握することは、
事件によっては必ずしも容易ではありません。
セカンドオピニオンでも、書きましたが、担当でない事件の詳細を
理解することは容易ではないので、
控訴審について相談を受ける弁護士が、本当に理解して
法律相談しているのかを、慎重に見極める必要があります。
なお、一審が和解することが相当の進行にもかかわらず、
判決を強く求めて敗訴したように、弁護方針に差がある場合、
一審代理人の中には、控訴審を行うことを断る弁護士もいます。
私は、一審を受任して敗訴した場合、ご依頼があれば、
よほどの事情がない限り、控訴審も受任することにしています。
仮に、一審で和解するべき事案でも、
控訴審で再度和解協議することが考えれるからです。
また、控訴審から受任することも、私の考える訴訟方針に
合意していただければ、受けています。
ともかく、一審敗訴の控訴審は、
一審が私が行ったものでも、他の弁護士が行ったものでも、
非常にしんどい、多くの努力を要する訴訟でああることは確かです。