辞任


委任されていた民事訴訟の代理人を
辞任することもあります。
当初一定の予想をして事件を受任します。
立証すべき点としては、何、
それに要する時間はどれくらい、
勝訴(目的達成)の可能性等
を考えて、着手金を提案して、受任します。
しかし、当初の立証すべき点を裁判に提出しても、
裁判所を十分に説得できなかった時、
当初の目的を達成できなくなるため、
訴訟の進行は困難をきたします。
例えば、当初は、客観的な事項を
立証すれば勝訴の可能性が高いとして、それだけを
立証することを予定した事件があったとします。
その後、詳細な事実経過についての立証を実施する場合です。
敗訴の可能性が高い中で、
さらなる成功の見込みが必ずしも高いといはいえないが、
大変に手間のかかる立証作業を行うか、
和解の可能性があるか考えるか
が問題となります。
私の傾向としては、
2,3割以下の可能性しかなくて、
見積もりには入っていない作業を行うことよりは、
和解を進めます。
そこで、依頼者が、和解を拒否して、
多大な作業を要求した場合、
訴訟方針の不一致となって、
辞任に至ることになります。
依頼者は、他の弁護士に、面倒な立証作業を
行なってもらうことでしょう。
立証作業ができるか、成功するかについては、分からないこと、
というか、私には、失敗すると大方予想されていることです。
依頼者の意向を尊重するためには、
最初の争点予想とそれに要する作業範囲を明示して、
当初の作業範囲外のさらなる立証活動で、
特に弁護士の負担が重い作業が必要になった場合には、
別途料金を請求する余地を残して置くことが
良いのかもしれません。
昔、訴訟で中間金を請求する弁護士がいると
聞いて、おかしいという教育を受けました。
しかし、訴訟の進行は予想できません。
当初予想した範囲とは異なる立証活動が出た場合、
依頼者と納得の上、訴訟を継続する
手段としては、中間金を請求する手段を残すということは、
良いことかもしれない、と最近は考えています。