訴訟費用確定の申立の諸々
訴訟が判決で終わり確定した場合、「訴訟費用は被告の負担とする。」というような判決主文に基づいて、相手方に対し、訴訟費用を請求することができることがあります。
ここでいう訴訟費用とは、民事訴訟費用等に関する法律第2条で定められたものです(申立の手数料、証人等の日当旅費、等)。一般の方で、誤解される方がいますが、弁護士に依頼した場合の弁護士費用は含まれません。
通常の事件では、手続きの割には大きな金額にならず、請求しても得にならないことから、多くの事務所では、訴訟費用の請求はしない場合がほとんどです。
ただし、不動産に関する訴訟や、医療過誤訴訟等では、当方が数十万円から100万円を超える鑑定費用を全額予納していた側だったら、相手方の負担する訴訟費用が数分の1だけだったとしても、数十万円を取ることができるので、訴訟費用を請求する(鑑定費用は、民事訴訟法等に関する法律第2条2号)意味がでます。
ところが、訴訟費用を請求するには、判決主文では負担の割合が定められているだけなので、書記官に対し、訴訟費用額確定処分の申立を行います(民事訴訟法71条)。
書記官が行った訴訟費用額確定処分が確定すると、相手方の代理人に対し、任意で支払うよう求めると、経験上は、相手方の代理人を通じて、訴訟費用の支払いがあります。場合によっては、相手方の預金等への強制執行も可能です。
なお、訴訟費用中の代理人の日当に、電話会議が含まれるかどうかについて、試しに、相手方の電話会議は訴訟費用上の日当に入れないよう求めてみたことがあります。
しかし、これについては、最高裁判所平成26年(許)第35号同年12月17日決定(判時2291号16頁)により、日当に認められることになっていました。すでに同じようなことを考えていた人がいたので、大変勉強になりました。
ちなみに、先日、相手方が原告で、請求放棄で終了した事件がありましたので、被告側である当方が、訴訟費用額確定の申立を行いました。
請求の認諾、放棄等では、訴訟費用の負担割合がそもそも定められていないので、民事訴訟法73条により、訴訟費用負担決定及び訴訟費用額確定処分の申立をすることになります。
鑑定費用等がない場合は、熱心に行う人はいないかもしれない訴訟費用確定の申立ではありますが、やってみると、色々と、勉強になります。
なお、当事務所では、当事務所で判決をとった事件では、訴訟費用確定申立をすれば一定の回収が見込める場合、実費数千円と、原則回収額の20%程度の成功報酬で、別途受任しています。
以上