自己破産準備中のお金の使い方


自己破産申し立てを私に委任してから、申し立てまでの
期間のお金の使い方について、説明します。
破産は、簡単にいえば、一定の日時に持っていた財産を
換金して、債権額に応じて比例配分する手続きです。
ここでの一定の日とは、破産開始決定の時です。
なお、破産開始決定の日以降に入手した財産は、
破産手続きとは無関係で、自由に使うことができます。
破産申立準備期間は、破産開始決定に先立つ期間です。
このため、破産申立準備期間に入手したお金は、
本来は、債権者に渡すべきお金です。
(実際には、債権者自体ではなく、破産管財人が引渡します。)
つまり、破産申立準備期間に入手したお金は自由に
使えるわけではありません。
不適切な使途に使うと、後で、管財人から、
返還を求められることになります。

もっとも、破産申立準備期間中でも、
生活はしなくてはなりません。
生活に必要な費用や、弁護士への支払いは、可能です。
食費、家賃、医療費、介護費用、子供の学費、生活必需品代は、
支出することができます。
破産申立準備期間中に入手したお金は、原則として、
どのように支出したか、記録することが適切です。
財産隠しや浪費ではないことを明らかにするためです。
ただし、普通の生活(統計的に一般的な生活費だけの支出)の方なら、
問題が生じることはまずありません。
特に深刻な問題が生じやすいのは、
記帳していない自営業者です。
自営業でも、破産申立準備期間中も仕事を継続
しなければ生活ができなくなります。
現金で営業継続に不可欠なものを買ったことを
領収書等で明確にしておく必要があります。
自営業の費用は、生活費よりは金額的に大きいので、
記録しておく必要性が高いのです。
特に、過去の債務を支払ったのではないことを、
(特定の債権者だけを有利に扱ったのではないことを)
意識して記録しておかなくはなりません。
もっとも、自営業者として本来は必要とされる
記帳と領収書の保管をしている方なら、問題は生じません。
破産申立準備期間は、以上のような事実上の制限がありますが、
一般的な方では、余り問題になりません。
しかし、生活が分かりにくい方や、記帳が雑な自営業の方の場合、
早期に破産申立することが、依頼者の利益だと思います。