相続対策としての不動産の購入は危険


相続税増税の対策として、
不動産購入による相続税額減額
を推奨しているセミナーが
多数あるそうです。

しかしながら、
相続税対策としての不動産投資は、危険
なので、私は、反対です。

不動産購入で相続税額が減少する理由には、
次のようなものがあります。
1 土地の評価額が、時価の約8割である相続税路線価に
よるものとされていること
2 土地の使用方法や相続する者によっては、
小規模宅地等の特例が適用になり、
評価額が8割引きになることがあること
3 借家や借家建付地の評価が減額となること

しかし、以上の理由は、
1 いつ亡くなるか分からない
2 不動産価格は思いの他変動する
3 金を産まない不動産は金食い虫
(固定資産税は持っているだけでかかる)
ということから、条件が良くなくては
必ずしも相続税対策とはならない、
と思います。

いつ亡くなるか分からず、
土地価格は、数年で数割程度は、
変動します。
www.chika-data.com/tokyo/

2008年(平成20年 ミニバブル)から
2012年(平成24年 震災1年後)までの
4年間で、
東京の公示地価・地価調査の平均で
2割は下がっています。

758,985円÷966,016円=78.6%

地価が2割以上下がってしまっては、
公示地価が時価の8割であっても、
現金をそのまま持っているのよりも、
損をしてしまいます。

ましてや、借り入れで不動産を購入すると、
利息の支払もあり、不動産価格がより
安定的なでないと、損してしまいます。

また、
相続税についての小規模宅地等の特例については、
適用要件が厳しく、容易に適用されません。
www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

さらに、
賃貸用不動産には、
空き家リスク
修繕リスク
があります。

満室での利回りは8%、
として、預金や投信よりも、見かけの利回りが良いのしても、
空き家やで入金がなくなり、
賃料下落で入金が少なくなり、
修理で金が飛んでいくと
元本割れも簡単に起こります。

実際、
私も、事務所ビルを所有していますが、
半年近い空き家や、
賃料下落、
雨漏りの対策工事にで、
数十万円単位の臨時的支出が必要になったことが
何度もあります。

少子化による経済の縮小傾向で、
事業用、居住用問わず、
金を生む不動産は、立地条件の良い、
一部のものに限定されています。

とは言え、不動産は、古くから重要な資産運用の対象です。
お金の生む不動産にであれば、価値が高いものです。

すると、
不動産投資は、
相続対策などという片手間で実施するものではなく、
立地と建物管理、需要動向による建物のリニューアル、
仲介業者に対する営業等を真剣に行う、
重要な事業として、実施すべきもの
というべきでしょう。