民事の被告側


不法行為があると言って、金を請求されている。
契約に基づく代金を支払ってくれ、と言われているが、そんなことはない、何とかしてくれ。
というご相談をいただくことが良くあります。
不法行為や契約代金の不払いが全くないとご相談者が説明し、
その説明の根拠となる資料があり、
相談者が相手方との交渉を嫌がる場合には、
相手方に対し、支払う理由はない、
言い分は、私(弁護士)に書面を送ってくれ、
という返事を出します。
当方の判断とは異なり、
相手方の代理人弁護士がその請求を実現したいと
考えた場合は、訴訟になります。
当方は相手方から、民事訴訟を訴えられ、
被告 となります。
提訴するかしないかは、相手方の自由ですから、支払わない(応じない)と回答してからは、いつ起こるか分からない、起こるか起こらないか分からない訴訟を、どっしりと構えて、待っているべきです。オロオロしては、いけません。
支払わない(応じない)という回答をしてから訴訟までの期間は様々ですが、
争いが明確な事件では、1ヶ月から3ヶ月までに提訴されることが多い
と思います。
訴訟となった場合、相手方への返答を依頼なされたご依頼者は、
私に民事訴訟の被告としての代理人を依頼されることが一般的です。
私が民事訴訟の被告となった場合、
相手方が主張する事項や、
私が照会する事項について、
私は、ご依頼者に対し、詳細な情報提供をお願いします。
その上で、訴状に対する答弁書を作成して、裁判所や相手方に送付します。
民事被告事件での1回目期日は、代理人である私が裁判所に行かなくても、答弁書と委任状を事前に出しておけば、問題は生じません。
民事訴訟の1回目の期日は、被告側の都合を聞くことなく決定されるので、実際に、出席が困難なことも良くあります。
相手方への回答の段階から関与している事件では、事件の内容もある程度は把握しているので、内容的な反論まで書き込んだ答弁書の作成までできることが、多いと思います。
情報提供を十分にいただけない場合や、負け筋の事件では、内容的反論を含まない、形式的な答弁書しか作成できないことも、あります。
また、私は、相手方の請求権がない、と判断しているので、訴訟の結果も、当方有利と判断している場合が普通です。
しかし、
相談段階では、相談者の言い分を尊重することを重視していること、
相談者が意識的、又は無意識的に当方に情報提供しなかった重要な事実がある場合もあること、
(隠し玉が出てくること)
私の判断に誤りがある場合もあること
から、訴訟の結果を、断定的に予想することはできません。
被告事件で、
内容的に当方が有利で、
情報提供を十分に頂いているときで、
原告側の代理人がグズグズしないとき、
訴訟は、あっという間に進行します。
1回目、答弁書提出
2回目 相手方準備書面提出、当方反論なし
3回目 双方、陳述書提出
4回目 当事者双方を尋問、和解協議
5回目 判決
というような進行もありえます。
被告側となるご依頼は、ご依頼者にとっては、
災難という場合が多くあります。
私に支払う費用について、
心情的に納得いただくことは、必ずしも容易では無いと思います。