損する自由も自由のうちか
私は、成年後見人、保佐人、成年後見監督人を
行なっています。
ほとんどの事件では、
本人(被後見人、被保佐人)は、
自分の意思の表明が全くない、とか、
会話はできるが、財産管理に関する意見表明がない
案件です。
この場合、一般的にいわれている
保守的で合理的な財産管理を
行うことになります。
株、外貨預金等は売る。
金銭管理は元本保証のものにする。
不動産も、所有することにメリットがなく、
所有するコストが高いものは売る。
本人の生活向上に役立つ支出はどんどん出す。
それ以外の費用は極力出さない。
という方針になります。
それに対し、
保守的で合理的な財産管理とは
異なる本人の意思表明がある場合には、
悩みます。
例えば、
寺に全財産の相当割合を寄付したいという人、
ボランテイア活動に多額の経費を使いたい人、
証券投資を行いたいという人、
財産は乏しいのに孫の教育費を出したい人、
こうした場合はどうすれば良いか、悩みます。
証券投資は、自己責任で行うべきものですから、
財産管理能力が十分でない被保佐人が
行うべきものではないと思います。
しかし、本人がどうしても様々な行為を行いたいと
いう場合、どうするのか。
損する自由も自由のうち、として、
一定範囲(将来の生活費に不安が生じない範囲)では、
本人への援助として、
様々な行為を認めるべきなのか。
それとも、不合理な行為なので、
認めるべきではないのか。
家庭裁判所は、
本人が希望しても、
不合理な行為を認める必要はない、
と考えているようですが、
私は、悩んでいます。