後見監督研修
2011年7月13日
東京弁護士会高齢の夏季合同研究に
行ってきました。
午前中は、いろいろな委員会が研修会を開催します。
私は、高齢者と障がい者の権利のための特別委員会の
成年後見監督人実務の研修に参加しました。
何と、事例発表担当でした。
成年後見実務でよく問題となる、
被後見人の財産で、後見人を扶養することは認められるか、
被後見人の財産を、家業の維持に使用することはできるか
の2点についての事例を作り、議論を深めました。
扶養も家業の維持も、
後見業務では、被後見人の財産は生活、療養のためだけに使用する、
という原則からは、上記のような支出は困難なことのように思われます。
しかしながら、
被後見人の生活維持、療養に影響を与えない場合で、
被後見人の従来の生活でも、扶養や家業の維持を行っていた場合で、
現在でも、扶養や家業の維持の必要性がある場合、
には、例外を考える余地がありそうです。
かえって、このような条件がある場合、
扶養や家業の維持に被後見人の財産を使用することが、
被後見人の生活、療養の維持に役立つと言えるでしょう。
とは言っても、
被後見人がやっていた会社の事業拡張目的の借り入れのための担保提供や
相続税対策の借入によるマンショ建設(相続税対策になるかさえ疑問)、
という程度では、上記の条件を満たす、とはいえないと思います。
被相続人から引き継いだ会社で、
後見人、被後見人の親族が現在経営していて、
今後の事業収支は確実に見込めるが、過去の借り入れの精算が必要で、
被後見人の財産から、家業に精算のための貸付又は出資をしても
被後見人の生活、療養には全く支障がない場合で、
後見人と被後見人の親族の生活の維持のためには会社維持が必要なら、
考慮できると考えました。
従来から被後見人の収入で生活していた妻で、
基礎年金収入しかない人への扶養的支出も
被後見人の財産から支出可能と思いました。