弁護士による仮設住宅を巡回訪問 手続き助言
東京電力に対する損害賠償について、
弁護士会が協力するようです。
www.asahi.com/national/update/1018/TKY201110180606.html
東京電力福島第一原発事故の被害者の賠償手続きを進めるため、政府の原子力損害賠償支援機構(東京都)が、福島県内の仮設住宅の巡回相談を10月31日から始める。11月中には同県郡山市に福島事務所を開いて、相談の態勢を強める。
賠償手続きを巡っては、被害者から「書類がわかりにくい」などの声が多く寄せられ、東電も自ら説明会などを開いている。機構はこれとは別に、日本弁護士連合会や日本行政書士連合会と協力し、専門家約100人の相談チームを作る。
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一見良いニュースのようにも思います。
しかしながら、権利擁護を職責とする弁護士にとって、全面的に
賛成するべき事業なのかは、疑問が残ります。
公害訴訟、
薬害訴訟、
福祉関係訴訟
自動車事故に関する損害賠償訴訟
不法行為に関する訴訟の歴史は、
まさに戦いです。
一見無関係といわれてきたものを
徐々に裁判所を説得してきた歴史です。
また、死亡や傷害の慰謝料には、
明確な基準はありません。
ただ、多くの裁判では、一家の大黒柱が
死亡した場合2800万円を認めていることが多い、
という積み重ねがあるだけです。
しかも、慰謝料の基準は、年々少しずつ変化します。
損害賠償請求の歴史は、長い長い戦いの歴史であることからすると、
東電の被害者の単なる書類づくり、手続き助言だけに、弁護士会が協力する
ということは、あってはならないことでしょう。
原発から放射能が撒き散らされたことにより
被害者が被った損害を完全に賠償するように、
力づけることが、弁護士の本来業務と思います。
もっとも、完全な賠償を得ることが困難であることは、
上記の上記の歴史から明らかです。
また、原発従業員とごく近くを除いて、
一定の線量以下の放射線の影響は、現段階では
確認されていません。
つまり、
影響があるとも、ないとも言えない。
影響がないとは言えないので、
とりあえず避けるべき
という状況です。
現時点での、一応避けたほうが良いという
判断に基づいて、損害賠償が認められるのか、
分からない部分のあると思います。
弁護士が助言するなら、単なる手続き助言では意味はありません。
本来は自分の侵害された権利回復の救済の戦いであるが、
戦えない事情があれば、それに応じた最善の手段を提案する、
というものでなくてはならないと思います。