公表禁止条項
訴訟上の和解をする際に、
正当な理由なく本件に関する事実を公表しない
等といういわゆる公表禁止条項を入れることが
良くあります。
正当な理由なく公表しない、
という条項の意味は、次のようなものだと理解しています。
インターネット上に被告を特定可能な形式で公表しない
被告を特定されるような形式での出版をしない、
被告を特定可能な形式での記者会見を開かない、
という、派手な公表をしない意味だと理解しています。
このため、
弁護士仲間の研究会での事案検討や、
原告本人が友人に連絡すること
等については、問題がありません。
民事訴訟は、損害賠償義務の有無を争うものであり、
たとえ事実でも、名誉起訴は成立することからも、
医療過誤訴訟の内容をそのまま公表することは、
原告にとって、リスクの高い行為です。
リスクの高い行為をしない、という意味では、
原告にとって、余り負担となる条項ではないでしょう。
公表禁止条項は、次の要な場合によく入ります。
医療の結果が期待されるとおりではなかったが、
過失又は因果関係の立証が不十分で
原告が勝訴できないことは良くあります。
しかし、被告としては、
当該医療機関での治療結果が良くなかったことを
残念に思い、被告としてのお金を払う理由として、
公表禁止条項を入れる場合が多いように思います。
恐らくは、被告代理人が、訴訟を終わらせるために、
被告医療機関を説得する材料にしているのではないか、
と思います。