不定慰謝料請求事件における過失の認定について
真面目に書いている文章が、お笑い文書になることが、たまにあります。
判例タイムズ1452号 p5からの、
「不定慰謝料請求事件における過失の認定について」
林田敏幸(大阪地方裁判所判事補)
は、笑いなしに読むことは困難です。
不貞は故意行為だと思うのですが、「相手方に配偶者がいることを疑わせるような具体的な事情が存在する場合に予見可能性を肯定する。」そうです。
そして、配偶者がいることを疑わせる具体的事情等を、35の裁判例から、場合分けして引用されています。
例えば、
1 パーティの2次会での出会いは、過失を否定する事情のようです。
2 出会い系サイトからも、否定する事情のようです。
3 しかし、知り合ったのは出会い系サイトであって、そのような簡便な男女の出会いの場においては、円滑に交際を開始し、継続するため、事実と異なる説明がされることは往々にしてあることは、公知の事実であると、として、過失が認められている裁判例もあります。
4 かつてホストであったことを知っていたことから、落ち着いた生活をしていないことになり、配偶者がいることに思い至らなくても、止む得ないとしている裁判例もあるようです。
5 最初に指輪を確認して、突っ込まないと過失になるとした裁判例もあるようです。
6 婚姻関係が破綻しているという説明を信じただけでは、過失は肯定されるようです。
etc
不倫について過失の有無が争点になった裁判例35件を集めての分析、ご苦労さまとしか、言いようがありません。。
しかし、認められた賠償額は、最高で300万円に過ぎません。
そして、既に引用したような、何とも言えない事情について、審理をしています。
すると、不倫は訴訟に持ち込むべきではないですね。
そもそも、訴訟には、国の予算が使われています。
貴重な社会資源である訴訟を、不倫裁判に使わないようにするため、不貞慰謝料は、否定説を採用するべきであると考えます。
もっとも、裁判にするべきではないものは、他にもあるようにも思います。
裁判官にとっては、真面目な顔をして笑いをこらえながら行う、息抜きかもしれませんが・・・。