できない相談
法律上できないことを求める相談をしたという方が
ときどきおられます。
生活が苦しいので、母から相続になったらもらえる財産を今もらえるうように交渉して欲しい。
20年前に相続放棄した時、兄騙された。兄の住所を調べて、相続放棄の取り消しを主張したい。
いうまでもなく、母が亡くなる前に母の財産を貰う方法は、母が自由意思でくれる場合、つまり、贈与の場合しかありません。
弁護士が贈与しろと交渉に行くことは、不適当でしょう。特に、生活が苦しいというだけでは不適当です。
20年前の相続放棄の取り消し主張も、なぜ、いまさら、という問題があります。
よほど明確な証拠を提示されない限り、弁護士が出ていくことはしせん。
弁護士会の法律相談や法テラス相談等で、こちらから相談内容を選べない場合は、丁寧にお話を聞きます。
その上で、法的処置を受任できない、ことをお伝えします。
そして、受任できない理由を説明し、さらに、他の対処方法がないか、考えます。
他の方法としては、上の例では、生活保護の紹介、破産制度の説明程度でしょう。
多くの場合、ご意向にそう回答ではないので、相談者からのご満足いただけません。
事務所に直接連絡があった場合には、
有料相談であること、
必ずしもご意向にそった回答とはならないこと、
から、相談申し込みの段階で、相談をお受けしないことを、お伝えします。
稀には、特に歯科関係事件では、
それでもどうしても相談して欲しい、
できない理由を知りたい、
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
この場合は、覚悟を決めて、お話をします。
私にとっては、精神的負担の重い仕事ですが、行う必要があると考えています。
もっとも、私が、ある相談について
ご意向は実現できない、
と回答した場合でも、正解、とは限りません。
弁護士の間にも、考え方や、知識、経験に大きな差があります。
親族関係や、契約違反行為の実施については、
弁護士の間でも、特に考え方に相違が大きいと思います。
私がご期待にそわない回答をした場合でも、
他の弁護士に相談する価値がある場合もあるかもしれません。